第六帖
霊界人は、その向いている方向が北です。しかし、地上人の言う北ではなく、中心という意味です。中心は、歓喜の中の歓喜です。それを基として前後、左右、上下その他に、無限立体方向が定まっているのです。霊界人は地上人が見て、いずれの方向に向かっていようと、その向かっている方向が中心であることを理解しなければなりません。故に、霊人たちは、常に前方から光を受け、歓喜を与えられているのです。それは絶えざる愛であり、真理と受け取られ、それを得ることによって霊人たちは生長し、生命しているのです。要するに、それは霊人たちの呼吸と脈搏の根源をなすものです。地上人から見て、その霊人たちが各々異なった方向に向かっていようとも、同じく、それぞれの中心歓喜に向かって座し、向かって進んでいます。上下、左右、前後に折り重なっていると見えても、それは決して、地上人のあり方のごとく、霊人たちには障害となりません。各々が独立していて、他からの障害を受けません。しかし、その霊人たちは極めて密接な関係におかれていて、全然別な存在ではありません。各自の眼前に、それ相応な光があり、太陽があり、太陰があり、歓喜があります。それは、霊人たちが目で見るものではなく、額で見、額で感じ、受け入れるのですが、その場合の額は、身体全体を集約した額です。地上人においても、その内的真実のものは額でのみ見得るものであって、目に見え、目にうつるものは、地上的約束下に置かれ、映像された第二義的なものです。映像として真実ですが、第一義的真理ではありません。故に、地上人の肉眼に映じたままのものが霊界に存在するのではありません。内質においては同一ですが、現われ方や位置においては相違します。故に、霊界人が現実界を理解するに苦しみ、地上人は霊界を十分に感得し得ないのです。霊人の中では太陽を最も暗きものと感じて、太陽に背を向けて呼吸し、生長しているという。地上人には理解するに困難なことが多いのです。要するに、これらの霊人は、反対のものを感じ、かつ受け入れて生活しているのですが、そこにも、それ相当な歓喜があり、真実があり、生活があります。歓喜の受け入れ方や、その厚薄の相違はありますが、歓喜することにおいては同様です。歓喜すればこそ、かの霊人たちは太陽に背を向け、光を光と感得し得ずして、闇を光と感得していることを知らねばなりません。この霊人たちを邪霊と呼び、邪鬼といい、かかる霊人の住む所を地獄なりと、多くの地上人は呼び、かつ感じ、考えるのです。しかし、それは本質的には地獄でもなく、邪神、邪霊でもありません。霊界においては、思念の相違するものは同一の場所には存在しません。何故ならば、思念による思念の世界につながる故です。現実的にみては折り重なって、この霊人たちが生活するとも、全然その感覚外に置かれるために、その対象とはなりません。地上人においても原則としては同様ですが、地上的、物質的約束のもとにあるため、この二者が絶えず交叉混交（こうさこんこう）します。交叉混交はしても、同一方向には向かっていません。そこに地上人としての霊人に与えられていない特別の道があり、別の使命があり、別の自由が生じてくるのです。
