第十四帖
霊界には、時間がありません。故に、霊人は時間ということを知りません。そこには、霊的事物の連続とその弥栄があり、歓喜によって生命しています。すなわち、時間はないが状態の変化はあります。故に、霊人たちは時間の考えはなく、永遠の概念を持っています。この永遠とは、時間的なものは意味せず、永遠なる状態を意味するのです。永遠ということは、時間より考えるものではなく、情態より考えるべきです。故に、霊人が地上人に接し、地上人に語る時は、地上的固有的な一切を離れて状態とその変化による霊的なものによって語るのです。しかし、この霊人の語る所を地上人が受け入れる時は、対応の理により、それが固有的地上的なものと映像されてくるのです。また、地上人に感応して語る時は、その霊媒の思念を霊人の思念として語るが故に、固有的表現となり、地上人にも十分に理解し得るのです。多くの地上人は、霊人を知りません。地上人には、地上世界に顕現するすべてのものの霊体が存在するということをなかなか理解しないし、霊人は反対に、霊界を物質的に表現した物質地上世界のあることをなかなかに理解しない。ただし、死後の霊人は、相当に長い間地上世界のことを記憶しているものです。地上人が、何故霊界のことを理解し難いかと言うと、それは、地上的物質的感覚と、地上的光明の世界のみが、常にその対象となっているからです。例えば霊人とは、地上人の心に通じ、あるいは、心そのものであると考えるためです。つまり、霊人は、心であるから、目も、鼻も、口もなく、また、手足などもない、と考えるからです。ところが実際は、霊人そのものが手を持つが故に地上人に手があり、指を持っているが故に、地上人に指が生ずることを知らなければなりません。しかも、霊人は、地上人よりはるかに精巧に出来ていることは、それを構成するものが精巧であることによって立証されるでしょう。霊人は、地上人にまして一段の光明の世界にあり、一段と優れた霊体を有しています。霊界における事物はすべて霊界における太陽と、太陰とによりて生まれてきます。それは、地上における場合と同じです。太陽と、太陰との交叉（こうさ）により生ずる歓喜によって、その生まれたるものはさらに一層の光機を放ち、弥栄となります。また、霊界には物質世界のごとく空間はありません。このことを地上人はなかなかに理解しないのです。霊界における場所の変化は、その内分の変化に他なりません。霊界に距離はありません。空間もありません。ただ、あるものはその態の変化のみです。故に、離れるとか、分かれるとかいうことは、内分が遠く離れていて、同一線上にないことを物語ります。物質的約束における同一場所にあっても、その内分が違っている場合は、その相違の度に、正比較、正比例して、遠ざかっているのです。故に、地上的には、同一場所に、同一時間内に存在する幾つかの、幾十、幾百、幾千万かの世界、及びあらゆる集団も、内分の相違によって、感覚の対象とならないから、無いのと同様であることを知り得るのです。
